
【介護初心者向け】介護・福祉で取得すると良い職種別の資格とは?給与手当にも差が出るの?
高齢化社会が進み介護を必要とする人が増えている現在、介護や福祉の現場で活躍する介護職は注目されている業種のひとつです。
介護職に興味を持っている社会人の中には、資格取得について悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
介護職の求人には「未経験者OK」「資格不要」と記載されているものもありますが、「介護職で長く働きたい」「キャリアアップをしたい」と考えているのであれば、いずれ資格取得が必要になるでしょう。
この記事では、これから介護職に就こうと考えている方や、どの資格から取得したらいいかわからないという方へ、おすすめの介護資格について解説していきます。
1. 介護の仕事とは

日本では、65歳以上で要介護または要支援の認定を受けた方が利用できる、様々な介護サービスがあります。
仕事内容は大きく分けて2つあり、直接利用者の身体に接触しながらお世話をする「身体介助」と、調理や洗濯、掃除など利用者に触れず身の回りのお世話を行う「生活援助」があります。
・食事介助
・入浴介助
・整容介助
・排泄介助
・更衣介助
・服薬介助
・外出介助
・移動介助
・体位変換
・調理、洗濯、掃除
また、これ以外にもレクリエーションの企画・運営やリハビリのお手伝い、利用者からの相談なども介護の仕事となります。
介護の仕事を始めるにあたって特別な資格は必要ないのですが、身体介護を行う場合は一定の資格が必要となるためご注意してください。
2. 介護職の職場の種類と仕事内容
では実際に介護の仕事はどのような職場で活躍できるのか、その種類と仕事内容について説明していきます。
2-1. 特別養護老人ホーム
要介護3以上の方が入所対象となる介護老人福祉施設です。
寝たきりや認知症など自立して生活するのが難しい方がほとんどで、介護士は24時間体制で入居者のお世話をしていきます。
仕事内容は主に食事や入浴、排せつなどの身の回りの世話の他、機能訓練や健康管理を中心に行います。
特別養護老人ホームで働くための資格は必要ありませんが、介護度の高い人が多いため仕事は身体介護が中心となるでしょう。
身体介護をするためには資格が必要になります。
入居者の要介護度が高い業務に当たる場合は、一定の知識や技術、経験が求められる可能性があります。
2-2. デイサービス(通所介護事業所)
利用者が自宅から日帰りで通いながら必要な介護サービスを受けることができる施設です。
デイサービスで働くための特別な資格は必要ありません。
食事や入浴、排泄などのお世話をはじめ、送迎やお見送りの業務も必要となります。
他にも身体機能の維持向上を目的とした機能訓練補助の実施など、要介護者ができるだけ自宅で暮らし続けることができるように支援をしていきます。
2-3. 訪問介護
介護士が利用者の自宅に伺い、介護サービスを提供します。
訪問介護を行う訪問ヘルパーになるためには、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、介護福祉士のいずれかの資格が必要となります。
仕事は食事や入浴、排せつ、乗降介助など身体介護の他にも、調理、洗濯、掃除など生活援助も業務に含まれます。
2-4. 医療機関
介護士ではなく看護助手や看護補助者と呼ばれることもあり、療養やリハビリなどで入院している患者さんのサポートや、看護師の業務補助を行います。
食事や入浴、排せつなどの身の回りのお世話以外にも、看護師の補助業務や医療器具の洗浄、ナースコールの対応など医療機関の仕事内容も含まれてきます。
2-5. グループホーム
認知症と診断された要介護者に特化した施設がグループホームです。
認知症の進行を遅らせることを目的とし、利用者の食事や入浴、排せつなどをサポートしていきます。身体介護以外にも調理や洗濯、買い物、掃除などの生活援助も必要となります。
基本的に資格は不要ですが、施設によっては必要となる資格もあるようです。
3. 一般的な介護資格について
介護士の資格は多岐にわたるため、どれから取得したらよいか悩む方も多いと思います。
まずは、初めに取得するべき介護資格について説明します。
3-1. 介護職員初任者研修
介護の基礎知識やスキルを学ぶことができる介護の入門資格です。
この資格を取得することで、訪問介護において身体介護が行えるようになります。
これから介護の仕事に就こうと考えている社会人の方など初心者におすすめの資格です。
受講要件はなく誰でも受けることが可能となっており、勉強期間も1〜4か月とわりと短期間での取得も可能となるため、計画的に進めていくと良いでしょう。
3-2. 介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の上位にあたる資格です。
初任者研修よりさらに専門的な知識を得ることができます。
取得によりサービス提供責任者として従事することができ、たん吸引など簡単な医療的ケアの実践的なスキルを身につけることもできます。
受講要件はなく、介護職員初任者研修を修了していなくても受講が可能となっています。
将来的に介護福祉士を目指すのであれば、必ず取得しておくべき資格です。
3-3. 介護福祉士(国家試験)
介護福祉士は介護職で唯一の国家試験です。
身体介護や生活支援の対応ができるだけでなく、ご家族からの相談対応やアドバイス、介護職員への指導などリーダー的な立場で幅広い業務を担当することができます。
給与アップやキャリアアップにも繋がる資格と言えるでしょう。
受験資格は3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修の修了が必要となります。
3-4. 認知症介護基礎研修
認知症への理解を深め、必要な基礎的な知識や技術を習得するための研修です。
介護職はこれまで無資格や未経験の方でも仕事をすることができましたが、2024年4月以降は、基礎的な認知症ケアについて学ぶ「認知症介護基礎研修」が義務づけられることになりました。
受講資格は、「認知症ケアにたずさわる介護従事者」「無資格(医療・福祉関連の資格を取得していない方)の介護従事者」となり、働いている施設等の要件は問われません。
4. スキルアップのための資格
ここからはワンランク上のスキルを身につけたいと考えている方のために、おすすめの介護資格について説明していきます。
4-1. ガイドヘルパー(移動支援従業者)
障害があり1人で外出することが困難な方に対し、移動に同行しサポートをしていくための基礎知識が習得できます。
試験等はなく、取得のためには自治体の指定する養成研修実施期間で研修、カリキュラム履修する必要があります。
4-2. 喀痰吸引等研修
施設や自宅において、喀痰吸引および経管栄養を行うことを目的とした研修です。
修了すると、喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)や経管栄養(胃ろうまたは腸ろう、経鼻)などの医療行為が実施できるようになります。
4-3. 介護食アドバイザー
介護食に関する知識や利用者1人1人に合わせた調理法が身につく資格です。
資格取得に受講条件はなく、日本能力開発推進協会(JADP)が指定した認定教育期間が行う教育訓練カリキュラムを修了する必要があります。
4-4. レクリエーション介護士
レクリエーションの知識やスキルを身につけることができ、施設で実施されるレクリエーションの企画や運営を行うことができます。
受験資格は必要なく、認定講座を受講し修了試験に合格することで取得可能となります。
5. 介護資格による給与手当の差はあるの?

介護職は無資格、未経験の方でも始められるというメリットがある反面、給与面を考えると資格の有無で大きな差がある職種とも言えます。
介護職全体でみると、資格がある職員の平均給与額(月給、常勤の者)が約31万円なのに対し、資格なしでは約26万円と5万円も差が出ています。
また資格別でも、介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士はそれぞれ給与手当が違い、特に介護支援専門員になると平均給与額が約37万円と高くなっていることがわかります。
介護職でキャリアアップを考えるのであれば、まずは国家資格でもある「介護福祉士」を目指し、その後「介護支援専門員(ケアマネジャー)」や「認定介護福祉士」「社会福祉士」を目指していくことで給与が上がっていくことが期待できます。
資格取得のメリットは給与面で優遇されるだけでなく、現場の介護業務以外に相談員やリーダーとして活躍することもできるため、自身のスキルアップにも繋がるでしょう。
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
6. まとめ
介護職は社会貢献度の高い仕事であり、利用者やご家族から必要とされ感謝されることも多く、やりがいのある仕事と言えます。
介護職へ興味のある方は、まず介護職員初任者研修を受講し、働きながら自分の業務に役立つ資格を身につけていくことをおすすめします。