
コーチングとはどういう仕事?カウンセリングとの違いや種類について解説
コーチングは簡単に説明すると、クライアントの話を聞いて目標達成へ導く仕事です。このように説明すると「カウンセリングと同じではないか」と思う人もいるかもしれません。
厳密にいうと、コーチングとカウンセリングはまったく異なります。
似ているのは「話を聞く」という点のみでしょう。
本記事では、コーチングについて解説します。カウンセリングとの違いやコーチングの種類についても紹介するので、参考にしてください。
1. コーチングとは?
コーチングとは、具体的どのような仕事なのでしょう。
「言葉を聞いたことがある」「なんとなく知っている」という人もいるかもしれません。
しかし、具体的な仕事内容について尋ねられると答えられる人はあまり多くないかもしれません。
コーチングを知るうえで重要なポイントは以下の3つです。
・意味と役割
・基礎となる「3つの原則」
・必要な「3つのスキル」
それぞれのポイントについて解説するので、参考にしてください。
1-1. 意味と役割
コーチングの語源は英語の「Corach」であり、「馬車」という意味があります。
「馬車?」と思った人もいるかもしれません。
馬車の仕事は、人を乗せてその人を目的地まで送ることです。
この仕事の意味が転じて、コーチングは「目標達成」の役割を担っています。
ビジネスの場で用いられることが多く、上司・先輩にあたる人が新人・後輩の能力などを引き出して成長を促すことが役目です。
コーチングは1回で終わることはなく、定期的に何度も行うことで段階的に才能・気力などを向上させていきます。
1-2. 基礎となる「3つの原則」
コーチングには基礎となる「3つの原則」があり、それは以下の3つです。
・インタラクティブ(双方向)
対象となる人の答えを引き出すため、コーチ役と対象者のやり取りを重視する
・オンゴーイング(現在進行形)
繰り返し行うことで、ビジョン・目標に向かって最後まで対象者が自走できるようにかかわる
・テーラーメイド(個別対応)
対象者それぞれの考え方・価値観などにあわせた対応を行い、自発性を引き出す
コーチングを行う立場にある場合は、必ず上記の3つを基盤として行わなければなりません。
対象者の自発性を引き出すことを目的としているからです。
くれぐれも一方通行にならないように注意しましょう。
1-3. 必要な「3つのスキル」
コーチングを行う際には、以下の「3つのスキル」が必要です。
・傾聴スキル
ただ話を聞くだけではなく、話の内容に含まれている本音・感情・背景なども読み取るスキル
対象者に「共感」を覚えさせる言葉・反応を、会話の合間に差しはさむ
・質問スキル
対象者の考えを引き出し、自分で答えを見つけてもらうためのスキル
対象者の立場に立った状況・心境に応じて、適切な質問を投げかける
・承認スキル
対象者の長所を見つけ、事実に基づいた内容で存在を認めるスキル
対象者に意味などが伝わる言動を用いる
「単に話を聞く」「手放しに褒める」といったことではありません。
対象となる人が自信をもって、自ら答えを見つけ出せるように導くことが重要です。
2. カウンセリングとの違い
コーチングと混同されがちな職業にカウンセリングがあります。
「話を聞く」という点では確かに似ているかもしれません。
しかし、厳密には以下のような点で異なります。
・目標設定の有無
・アドバイスとサポート
・意識・行動変容と癒し・回復
それぞれの異なる点について解説するので、参考にしてください。
2-1. 目標設定の有無
コーチングとカウンセリングの大きな違いは具体的な目標設定の有無です。
例えば仕事で営業職についていたとしましょう。
毎月の目標数を達成できず、心が折れそうになっています。
「どうすれば目標数を達成できるのか」に焦点を当て、その方法を自発的に導き出せるように行うのがコーチングです。
一方のカウンセリングは「心が折れそうになっている」という部分に焦点を当てます。
メンタルを元に戻すという点は目標といえるかもしれませんが、コーチングの場合の具体的な目標設定とは異なります。
このようにコーチングは具体的な目標設定がありますが、カウンセリングにはありません。
2-2. アドバイスとサポート
コーチングが行うのはアドバイスであり、カウンセリングが行うのはサポートです。
コーチングの場合は、目標を設定するための具体的な提案を行います。
いくつかの選択肢をつくり、対象となる人に自分で選んでもらって行動を促すのです。
一方のカウンセリングは「私があなたの支えになります」という意思表示を行います。
自分を支えてくれる人がいると認識してもらうことで、マイナスに落ち込んだメンタルをゼロに戻すのです。
カウンセリングは基本的にアドバイスは行いません。
それはコーチングやメンタルトレーナーの領域になってしまうからです。
2-3. 意識・行動変容と癒し・回復
コーチングは意識・行動変容を目的としており、カウンセリングは癒し・回復を目的としています。
コーチングの最終的な目的は、対象となる人が自分の意志で自分のための行動を起こすことです。
そのためには現状の意識では不十分であるため、考え方からアプローチして行動変容を導きます。
一方のカウンセリングは、精神面・メンタル面がマイナスになってしまったクライアントの癒し・回復が最終的な目的です。
悲しみ・怒りの感情などを吐き出してもらい、心の重荷を下ろしてもらいます。
3. コーチングの種類
コーチングは1つだけと思っている人もいるかもしれません。
しかし、コーチングは対象者に合わせて方法などを変える必要があります。
そのため、目的にあった内容が準備されているのが現状です。
・ビジネスコーチング
・エグゼクティブコーチング
・ライフコーチング
・メンタルコーチング
・NLPコーチング
それぞれのコーチングについて紹介するので、参考にしてください。
3-1. ビジネスコーチング
ビジネスコーチングは、会社にコーチングを導入したい場合に役立つスキルです。
ビジネスにおけるコーチングは売上・利益率の向上などが目標として設定されることが多く、会社全体の成長にも関係しています。
そのため、十分な知識・スキルが求められることは多いといえるでしょう。
なお、養成講座・資格取得コースは「ビジネスコーチ養成講座」という名前で公開されています。
資格取得までセットになった講座もあるので、探してみてください。
3-2. エグゼクティブコーチング
エグゼクティブコーチングとは、社長・取締役などの経営者向けのコーチングです。
経営層で活躍する人たちは企業にとって重要な役目を担っていますが、その反面相談できる人がいないなど孤独を感じる人もいます。
このような人たちの相談相手となり、成長をサポートするのが仕事です。
エグゼクティブコーチングは、一般社団・民間で認定資格を実施しています。
養成講座なども開講されているので、探してみると良いでしょう。
3-3. ライフコーチング
ライフコーチングとは、家庭・仕事などあらゆる状況において前向きな心理状態を自分で作ることを助ける役目を担っています。
お金・恋愛・人間関係・趣味・子供など対象は多岐にわたりますが、すべてに対応しなければならないわけではありません。
これらのなかから得意な分野だけに絞って、知識・スキルを高めていくのが一般的です。
ライフコーチングは、民間・一般社団法人などで認定資格・養成講座が開講されています。
認定資格に合格すれば資格証も手に入るので、興味がある場合は探してみてください。
3-4. メンタルコーチング
メンタルコーチングとは、クライアント・対象者のメンタル面における問題点を深掘りして自覚していない目的・欲求などを明らかにする方法です。
単にクライアント・対象者にとっての「答え」を見つけ出すのではなく、自分で物事を解決する力をつけることも目的としています。
資格は民間・一般社団法人なので取得可能で、資格取得に向けた養成講座もあります。
3-5. NLPコーチング
NLPコーチングとは「脳と心の取扱説明書」との別名がある心理学と、コミュニケーションに特化したアプローチ方法が特徴のコーチングをあわせた方法です。
NLPはアメリカ発祥の心理手法であるため、NLPコーチングも他のコーチングと一線を画しています。
資格は米国NLP協会公認スクールでしか取得できません。
資格取得すれば履歴書へ記載することでアピールになるレベルです。
本格的にコーチングを学びたい場合は、NLPコーチングを学んで資格を取得してください。
4. どのような人を対象にするのかを考えよう
コーチングについて解説しました。
コーチングといっても、どのような人を対象とするのかによって求められるスキル・知識は異なります。
資格を取得して将来仕事にしようと考えている場合は、どのような人を対象にするのかに焦点を当てて選択すると良いでしょう。