キャリアコンサルタントになるには?向いている人・資格・就職先について紹介

公開日: 2024/6/28

働き方の多様化に伴い、「キャリアアップがしたい」と考える人が増加傾向にあります。

そのなかで需要が増加しつつあるのが、キャリアコンサルタントです。

しかし、キャリアコンサルタントになるにはどのような学習・資格が必要なのかわからない人もいるでしょう。


本記事では、キャリアコンサルタントについて解説します。

主な仕事内容・資格試験・就職先などについて紹介するので参考にしてください。

1. キャリアコンサルタントとは


キャリアコンサルタントとは、どのような仕事なのでしょうか。

その名称から「キャリアについて助言する」と想像できます。

しかし、詳しい仕事内容などについてはわからない人もいるでしょう。


まずはキャリアコンサルタントについて解説します。

資格試験などを目指す前に、全般的な知識を深めてみてください。

1-1. 2016年4月に定められた国家資格

キャリアコンサルタントは、2016年4月に施行された「職業能力開発促進法」に規定されている国家資格です。

国が定める独占業務であるため、資格試験に合格しなければ「キャリアコンサルタント」と名乗ることはできません。

また類似した名称や「紛らわしい」と判断できるものも使用不可です。


言い換えるなら、資格試験に合格すれば「キャリアコンサルタント」と正式に名乗って仕事ができます。

知識・スキルも国のお墨付きであることから、さまざまな企業・場所で活躍できるでしょう。

1-2. 仕事でのお悩み相談

キャリアコンサルタントの具体的な仕事内容は、仕事に関するお悩み相談です。

対象となる範囲は学生・個人・企業など幅広く、スキル・知識レベルなどを考慮したうえで、クライアントが望むキャリアへと導きます。


また自身の持つ能力の活かし方がわからないなどの相談もあるでしょう。

そのような場合には具体的な働き方や業種などを提案し、相談者が生きがいをもって仕事ができるようにサポートします。


さらには、ニート・ひきこもりなどの支援を行うこともあるでしょう。

個人の能力などを正しく見極め、仕事に活かせるように導くことも業務範囲内です。

2. キャリアコンサルタントに向いている人


キャリアコンサルタントは、クライアントあっての仕事です。

そのため、誰にでも向いている仕事かというとそうではありません。

向いている人の特徴として、主に以下の3つがあげられます。

 ・相談者主体で行動

 ・仕事が素早い

 ・論理的思考

それぞれの特徴について解説するので、自身と照らし合わせて参考にしてみてください。

2-1. 相談者主体で行動できる

キャリアコンサルタントは、クライアントの希望に沿った成功を目的とした仕事です。

そのため、クライアントの立場に立った考え方ができなければいけません。


よく話を聞き、望みを的確に見極められる能力が求められるでしょう。

クライアントのなかには、希望や考えの言語化が苦手な人もいます。

その場合には、その意図や思いを汲んで正確に言葉で表現できなければいけません。


何度もクライアントの思いや考えを確認し、成功へと導いてあげられる人が、キャリアコンサルタントに向いているといえます。

2-2. 素早く仕事ができる

キャリアコンサルタントは、素早く仕事ができる能力も必要です。

クライアントの希望・考えを考慮したうえで、情報の収集から支援までの全般を担います。

これら一連の作業を行う期間は、長くても半年程度でしょう。

短ければ2〜3か月で結果を求められることもあります。


たとえ内容がクライアントの意思に即したものであったとしても、完結までの期間が長ければ満足してもらえない可能性があります。

多くの依頼では短期間での成功が求められるため、スピーディーかつ正確に仕事がこなせる人が向いているのです。

2-3. 思考が論理的である

論理的思考を持った人は、キャリアコンサルタントに向いているといえるでしょう。

クライアントのなかには、感情が先走ってしまう人もいるからです。


そのようなケースではクライアントの気持ちを汲みつつ、キャリアコンサルタントが可能不可能の判断を行わなければなりません。

また、「このような方法なら実現可能かもしれません」などのように、別の提案が必要なこともあるでしょう。


クライアントの感情に左右されず、事実を正確に見極めて提案できる人は、キャリアコンサルタントをおすすめします。

3. キャリアコンサルタント資格について


キャリアコンサルタントは国家資格であることから、合格するには充分な準備が必要です。

その一方で独占業務でもあるため、合格すれば就職などで優位になるでしょう。


それではキャリアコンサルタントの試験内容はどのようなものなのでしょうか。

概要や内容を知らないという方もいるかもしれません。


ここではキャリアコンサルタントの試験概要・内容・合格率について解説します。

これから目指そうと考えている人は参考にしてください。

3-1. 試験概要

◆受験資格

学科・実技共に

 1.厚生労働大臣認定の講習課程を修了

 2.職業の選択・職業生活設計・職業能力開発と向上のいずれかについての相談を3年以上を有する

 3.技能検定キャリアコンサルティング職種の学科・実技試験に合格

1~3のいずれかを満たしている

◆出題形式

 ・学科... 四肢択一マークシート

 ・実技... 論述:記述式/面接:ロールプレイ・口頭試問

◆試験時間

 ・学科... 100分

 ・実技... 論述:50分/面接:20分(ロールプレイ15分、口頭試問5分)

◆合格基準

 ・学科... 100点満点中70点以上

 ・実技... 150点満点中90点以上

◆受験料

 ・学科... 8,900円

 ・実技... 29,900円

受験概要|CC協議会 キャリアコンサルタント試験(国家資格)


受験資格の「厚生労働大臣の講習過程」については、キャリアコンサルタント講習検索サイトにて検索可能です。

講習区分や予定地などを選択して検索してください。


なお試験日程は、「キャリアコンサルタントになりたい方へ(厚生労働省)」内にて公表されます。

2年分の日程が公表されるので、確認してください。

3-2. 主な試験内容

◆学科...

 ・キャリアコンサルティングの社会的意識

 ・キャリアコンサルティングを行うために必要な知識

 ・キャリアコンサルティングを行うために必要な技能

 ・キャリアコンサルタントの論理と行動

 ・その他

◆実技...
 【ロールプレイ】

 ・実際の場面を想定。

 ・クライアントを尊重する態度・姿勢

 ・クライアントとの関係性の築き方

 ・問題点のとらえ方

 ・成長するような応答

 など

 【口頭試問】

 キャリアコンサルティングについて

キャリアコンサルタントになりたい方へ(別紙:カリキュラム)|厚生労働省、受験概要|CC協議会 キャリアコンサルタント試験(国家資格)


口頭試問については、キャリアコンサルティング全般が範囲です。

どのような質問にも答えられるように、基礎固めを行って準備してください。

3-3. 合格率

厚生労働省のキャリアコンサルティング専用ページでは、第1回からの合格率が公開されています。

第20〜24回分について、学科・実技・学科と実技の同時受験の3つの合格率の一覧表にしたので、参考にしてください。


◆第24回

 学科... 52.6%

 実技... 65.4%

 学科と実技の同時受験... 45.4%


◆第23回

 学科... 83.6%

 実技... 63.0%

 学科と実技の同時受験... 60.7%


◆第22回

 学科... 82.2%

 実技... 64.6%

 学科と実技の同時受験... 59.3%


◆第21回

 学科... 61.7%

 実技... 57.7%

 学科と実技の同時受験... 46.9%


◆第20回

 学科... 77.9%

 実技... 60.2%

 学科と実技の同時受験... 54.9%

キャリアコンサルタントになりたい方へ(別紙:カリキュラム)|厚生労働省

4. キャリアコンサルタントの就職先


キャリアコンサルタントの資格を取得すると、どのような場所への就職先があるのでしょう。

これから資格取得を考えている人のなかには、就職先に不安を覚えている人もいるかもしれません。

主な就職先としてあげられる場所は、主に以下の4つです。

 ・人材派遣会社

 ・学校の進路・キャリア相談

 ・行政機関

 ・フリーランス

それぞれの特徴などについて解説するので、参考にしてください。

4-1. 人材派遣会社

人材派遣会社での主な仕事は、派遣会社の登録者と企業を結び付けるマッチング業務です。

仕事を求める登録者と人材を求める企業、双方の適性・能力・希望などを正確に聞き取り・調査して結びつけます。


仕事を求める人の多くは、可能な限り早く就職したいと思っており、企業のなかにもスピーディーさを期待するところがあるでしょう。

そのため、素早く正確に仕事をこなす能力が求められます。

4-2. 学校の進路・キャリア相談

日本にある大学の多くは、キャリア相談ができる部署・センターを構えており、キャリアコンサルタント有資格者を配置しています。

キャリア関連の部署・センターを設置する大学は増加傾向にあり、これに比例してキャリアコンサルタントの就職場所も増加するでしょう。


なお、相談相手の多くは学生であり、早い段階から就職活動を行う人も一定数存在します。

そのようなケースでは、スピーディーさよりも長期的なアドバイスが求められるでしょう。

4-3. 行政機関

行政機関でもキャリアコンサルタントを求めるところがあります。

主な就職先としてハローワーク・職業訓練所・ジョブカフェなどがあげられるでしょう。


相談者のなかには長期休業中の人もおり、「一日も早く仕事をスタートさせたい」「長時間労働には不安がある」など、さまざまな悩みを抱えています。

そのため、一律にスピーディーに仕事をこなすというよりは、個別に合わせた真摯な対応が必要でしょう。

4-4. フリーランス

フリーランスで活躍する道もあります。

その場合は、個人・企業全体など幅広い対応力が求められるでしょう。

自分で仕事量やスケジュールが調整できるため、自由に仕事がしたい人におすすめです。


ただし、キャリアコンサルタントの資格を取得したばかりの人には特定の顧客がつきにくいかもしれません。

いったんどこかの企業などに籍を置き、経験や経歴を積んでから、フリーランスに移行したほうが良いでしょう。

5. 受験資格をクリアしてキャリアコンサルタントを目指そう


キャリアコンサルタントについて解説しました。

働き方が多様化している昨今、個人のみならず、企業全体からキャリアコンサルタントとしての知識を求められることもあるでしょう。

そのような意味で、将来性の高い資格であるといえます。


しかし試験には受験資格があり、条件を満たさなければなりません。

また、学科と実技の両方の試験対策も必要です。

合格を目指す場合は受験資格を確認したうえで資格試験の勉強をし、万全の態勢で試験に臨みましょう。