なぜ今、個人事業主を目指すのか?|30代男性のキャリア視点から考える「働き方」の新常識

公開日: 2025/5/23 更新日: 2025/4/24

30代、それは人生とキャリアの転機ともいえる時期で、30代こそキャリアの「分岐点」です。

20代で積み上げてきた経験を武器に、会社では中堅としての責任が増え、上司と部下の板挟みに悩むこともある。

結婚・育児・住宅購入など、ライフステージも大きく動き始めるタイミング。そして、ふとした瞬間にこんな問いが頭をよぎるのです。


「このままこの会社にいて、10年後の自分はどうなっているのか?」

「もっと自分の力で稼いでみたい」

「会社の看板じゃなく、自分の名前で仕事がしたい」


このような思いを抱えたとき、ひとつの選択肢として浮上するのが「個人事業主として働く」という道です。

特にここ数年、コロナ禍を経て働き方が多様化したこともあり、副業・フリーランス・スモールビジネスといったスタイルが身近になりました。


この記事では、なぜ今、30代男性にとって「個人事業主」が現実的かつ有効なキャリアの選択肢なのかを、社会背景・メリット・リスク・準備の視点から徹底的に解説していきます。

1. 社会の変化が個人事業主を後押ししている


1. 働き方の多様化と「脱・終身雇用」

日本社会では長らく「終身雇用・年功序列」が前提の働き方が支配的でした。

しかし、トヨタや日立といった大企業でさえ「終身雇用の継続は難しい」と明言するなど、今や“安定=正社員”という図式は崩れつつあります。

人材市場では、「自律的に働ける人材」「専門性のある人材」が重視されるようになり、「個人のキャリア=会社任せ」ではなくなっています。

2.フリーランス・副業解禁の流れ

2018年以降、政府は副業・兼業を促進し、企業も就業規則を見直す動きが広がりました。

30代のうちに副業を始め、そこから独立・開業へとステップアップするケースも増えています。

2023年のランサーズ調査によれば、フリーランス人口は1,600万人を超え、そのうちの約25%が30代という結果もあります。

2. 個人事業主になるメリットとは?


① 自分の力で稼ぐ実感と自由な働き方

組織で働くことは安定や福利厚生の面でメリットがありますが、やりたい仕事を選べない、評価が不透明などの不満もつきものです。

個人事業主になると、案件・報酬・働く時間などを自分で決められる自由があります。

成功すれば年収も青天井。会社の評価ではなく、成果そのものが報酬に直結する喜びを感じることができます。

② スキルの価値がダイレクトに伝わる

会社では「周囲との協調」や「空気を読む力」が求められる場面もありますが、個人で働く場合、よりストレートに「スキル」や「成果」で評価されます。

エンジニア、デザイナー、ライター、マーケターなどは、フリーで活躍する道が広がっています。

③ ライフスタイルに合わせた働き方ができる

子育てや介護、パートナーとの時間など、30代はライフスタイルに変化が多い時期。

会社員だとフレキシブルに対応しづらい場面もありますが、個人事業主であれば、仕事の量や時間をコントロールしやすくなります。

3. 一方で知っておきたいリスクやデメリット


もちろん、すべてがメリットだけではありません。

個人事業主には以下のようなリスクも伴います。

■ 収入が不安定になる

会社員のように毎月安定した給与が保証されるわけではありません。

案件が取れなければ収入はゼロ。開業当初は貯蓄を切り崩す必要もあるでしょう。

■ 社会保障が手薄になる

厚生年金や健康保険の会社負担がなくなり、すべて自己負担に。

出産手当金や傷病手当金なども受けられなくなります。

■ 自己管理力が求められる

時間管理、顧客対応、請求・税務処理まで、すべて自分で行う必要があります。

「営業が苦手」「スケジュール管理ができない」というタイプには負荷が大きい可能性も。

▶ 対策は「スモールスタート」と「副業からの延長線」

いきなり会社を辞めて個人事業を始めるのはリスクが高いです。

まずは副業や週末起業から始めて、「市場の反応を見る」「収益モデルを試す」といったプロセスを踏みながら、少しずつ移行していくのが現実的です。

4. 30代男性が個人事業主を目指すべき理由


ここで、30代という年代に特化した視点から、なぜ今「個人事業主」という選択がベストなのかを考えてみましょう。

1.経験値とスキルがあるからこそ活かせる

20代の頃に積んだ業務経験・専門知識・人脈は、30代で活きてきます。

つまり、いきなり未経験の世界に飛び込むのではなく、自分の強みを“ビジネス化”しやすいのが30代の魅力です。

2.家族・生活の安定のためにも「稼ぐ選択肢」を増やす

結婚・子育て・ローン返済…経済的な責任が増える30代。

今後のキャリアが不透明な中で、「副業 → 開業」という流れを作ることで、家族の安心感にもつながります。

3.失敗してもリカバリー可能な年齢

40代・50代になると転職市場の壁も高くなりますが、30代であれば「もう一度会社員に戻る」ことも十分可能。

仮に失敗してもやり直しやすい、絶妙なタイミングなのです。

5. 個人事業主になる前にやっておきたい準備とは?


■ 自分の「得意」や「経験」を棚卸しする

「何を売るか?」「どんな価値を提供できるか?」を明確にしましょう。

書き出してみると、意外な強みに気づくこともあります。

■ ビジネスモデルの設計

「誰に、何を、どのように提供するのか?」というビジネスの基本設計を考えます。

副業で試してみると、より現実味が出てきます。

■ 税務知識・社会保険の理解

開業届、青色申告、所得税、消費税、国民年金、国民健康保険…会社員時代には見えなかった世界を知っておくことは非常に重要です。

6. おわりに|「自分の名前」で生きていく覚悟と魅力

30代で個人事業主を目指すことは、単に「会社を辞める」ことではなく、「自分でキャリアを選ぶ」ということ。

責任もリスクも増える一方で、それ以上に「自由」「成長」「達成感」が待っています。


一度きりの人生。

 会社の名前ではなく、「自分の名前」で仕事をし、生きていく。

 その一歩を踏み出すのに、30代はベストタイミングなのです。