キャリア開発のメリットとは?概要や目標の立て方についても解説

公開日: 2024/1/19

大手企業での導入・実施が増加しつつあるのがキャリア開発です。

しかしなかには、具体的にどのようなことをするのかわからないという人もいるかもしれません。

キャリア開発には多くのメリットがありますが、その一方で手順・方法などがあります。

これらを間違えると思うような結果は得にくいでしょう。


本記事ではキャリア開発のメリットについて紹介します。

概要・目標の立て方・手順などについても解説するので、参考にしてください。

1. キャリア開発とは


大手企業でキャリア開発の導入・実施が増加しつつあるようです。

2022年には厚生労働省が委託事業を通して実践研究を行い、その結果を資料にまとめてネット上で公開しています。


導入・実施を考えている企業もあるかもしれません。

その一方で具体的な内容や方法などがわからないという人もいるでしょう。

そこでキャリア開発の概要・具体的な方法について解説するので、参考にしてください。

1-1. 従業員育成手法のひとつ

キャリア開発とは、簡単に説明すると企業に属する従業員の育成手法の一つです。

育成対象は従業員であり、その企業・部署に属する上司などが実施します。

多くの企業では従業員の育成方法として、社内研修・勉強会などを実施しているところもあるでしょう。

「従業員の育成」という枠組みで見た場合は、社内研修とどこが違うのかと思う人もいるかもしれません。


キャリア開発とこれまで多くの企業が実施してきた育成方法とでは、「自主性」という観点で異なります。

この点については後述で具体的な方法を上げて解説するので、参考にしてください。

1-2. 具体的な方法

キャリア開発の具体的な方法として、以下のようなものがあげられます。

  ・人事異動

  ・配置転換


これらは企業のほとんどが行っている方法でしょう。

しかし、キャリア開発ではこれらの方法を行う前に必ず「キャリア面談」を実施します。


キャリア面談の目的は、従業員の希望・課題を明確にすることです。

ただし、面談を行う際に主導権を握るのは上司などの面談を行う側ではありません。

キャリア開発の対象者である従業員が主導権を握ります。


キャリア開発そのものは、従業員の自主性のもとで行われる育成方法です。

そのため、人事異動・配置転換なども従業員の意志・希望が尊重されていなければいけません。

2. キャリア開発のメリット


従業員にとってのキャリア開発にはどのようなメリットがあるのか、気になる人もいるでしょう。

その主な例として以下の3つがあげられます。

  ・スキル・能力の強化

  ・キャリア構築が可能

  ・充実感・達成感


それぞれのメリットについて解説するので、参考にしてください。

2-1. スキル・能力の強化

キャリア開発を行うことで、スキル・能力の強化が期待できるでしょう。

実施する前にキャリア面談で希望・意見などを伝えるため、基本的には望み通りの場所で仕事ができます。

希望などを伝える際には、自分の伸ばしたいスキル・能力も含めているはずです。

そのため、仕事を通して足りていないまたは伸ばしたい部分が強化できます。

2-2. キャリア構築が可能

キャリア構築の可能性も見えてくるでしょう。

キャリア面談の際、将来的にどのような自分自身をイメージしているのかまで言及されます。

キャリア開発はそのイメージに自分を近づけるための育成でもあるため、キャリア構築が可能になるのです。


仕事をしながら経験・実践を積むことで、ぼんやり描いていた未来の自分自身も明確になるでしょう。

2-3. 充実感・達成感

充実感・達成感が得られるという点も、キャリア開発のメリットです。

やりたい仕事に従事できるという点で、仕事に対するモチベーションは上昇しやすくなります。

モチベーションが上がれば必然的に仕事での成果もあげやすくなり、会社全体から評価されることも増えていくでしょう。


高い評価を得ることはさらにやる気やモチベーションアップの土台となり、「仕事ができている」という充実感・達成感が得やすくなるのです。

3. キャリア開発の際の目標の立て方


キャリア開発で重要となるのは、会社側で行う面談だけではありません。

従業員側の目標の立て方も成功のカギを握っています。

具体的には以下の手順があげられるでしょう。

  ・自己評価

  ・目標を設定

  ・リソース収集

  ・タイムライン作成

  ・進捗状況の確認


それぞれのポイントなどについて解説するので、参考にしてください。

3-1. 自己評価

キャリア開発の足掛かりとして、自己評価は重要な手順といえます。

次に行う目標設定の土台にもなるからです。

具体的な自己評価として以下のポイントに注目してみましょう。

  ・できているまたは足りていると感じるスキル・能力

  ・不十分だと考えるスキル・能力

  ・不十分だと考える理由


自己評価を行う際、自分の足りていないところにばかり目を向ける人が多いようです。

しかし、キャリア開発のための自己評価は自分自身を追い詰めるためのものではありません。

まずは自分ができていると思う点を書き出して自己肯定感を上げましょう。


そのうえで不十分だと考えるスキル・能力を箇条書きにして、その理由を考えてください。

不十分だと思うのには必ず理由があります。

そのように感じるきっかけとなった出来事なども書き出してみると良いでしょう。

3-2. 目標を設定

自己評価が終了したら、次は目標を設定します。

目標設定は以下のように行うと良いでしょう。

  ・最終目標を決定

  ・短・中期目標を複数設定


最終的にどのようになりたいのか考えてください。

そのうえで、そこにたどり着くまでの小さな目標を設定しましょう。

ここで役に立つのが自己評価で行った分析結果です。

最終目標にはできているまたは十分である能力・スキルが活かせるものを設定すると良いでしょう。


短・中期目標では、不十分だと感じる能力・スキルのなかから最終目標につなげられるものをピックアップして設定します。

3-3. リソース収集

目標設定が完了したら、次はリソース集めです。

具体的には短・中期目標を達成するために、どのような方法があるのかを収集します。

例えば、以下のようなものがあるでしょう。

  ・セミナー・ワークショップへの参加

  ・スキルを高めるための学習(通信教育など)

  ・同じ目標を持つ仲間と出会うためのネットワーク(SNSなど)


このようなリソースを書き出し、情報を収集してこなしていきます。

書き出したすべてのリソースを活用する必要はありません。

そのなかから自分に向いているもの・いないものを取捨選択していきましょう。

3-4. タイムライン作成

タイムライン作成も忘れないでください。

キャリア開発は全体を通してみた場合、長期的に取り組む方法です。

しかし、それは最終目標にたどり着くまでの期間であって、短・中期目標はそうではありません。

短・中期目標をどれくらいの期間で達成させるのか、大まかに計画しておく必要があります。


しかし、実際に実行に移してみると計画通りには進みません。

特に最初は手探り状態なので、想像以上に時間がかかるでしょう。

ゆとりをもたせ、変更も可能な状態にして作成しましょう。

3-5. 進捗状況の確認

タイムライン作成まで行った後は、実行に移します。

ただし実行し続けるのではなく、定期的に進捗状況を確認しましょう。

当初予定していたよりも遅い場合もあれば、早い場合もあります。

一定の期間をおいて確認し、期間を変更したほうが良い場合はその都度調整してください。


ただし、目標に関しての変更はタブーです。

既に設定した目標の内容を変えてしまっては、それまでの努力が水の泡になる可能性があります。


目標を達成するためには不十分な点があると感じた場合は、新たに短・中期目標を追加すると良いでしょう。

4. キャリア開発は面談と目標設定が重要


キャリア開発について解説しました。

本来のキャリア開発は従業員のためだけではありません。

従業員育成方法のひとつではありますが、成長対象は従業員と会社の両方です。

そのため、企業側の協力も欠かせないといえるでしょう。


キャリア開発を成功させるには、面談と目標設定が重要です。

目標設定は自分自身で可能ですが、面談は会社の上司などに協力してもらう必要があります。

会社全体で行う育成方法だということを忘れないでください。