
医療事務の資格は独学でも可能?種類や勉強方法を解説
女性を中心に人気の高い医療事務。
無資格でも従事できる一方で、資格があれば仕事の内容が広がり、資格手当などの収入もアップします。
そんな医療事務の資格を、独学で取得したいと考える方もいるでしょう。
資格取得には通学などは必要なのでしょうか。
本記事では、医療事務の種類と勉強方法について解説します。
最後まで読んで自分にあった学習の仕方で医療事務の資格取得を目指してください。
1. 医療事務関連の資格
「医療事務」といっても関連する資格は複数あり、どの資格取得を目指すかによって勉強方法は異なります。
資格によっては独学での取得が困難なものもあるため、注意してください。
そこでまずは医療事務関連の資格について紹介します。
主催者・受験資格の有無などを参考にして、資格取得を目指してください。
1-1. 医療事務認定実務者試験
●主催者:全国医療福祉教育協会
●受験資格:特になし
●試験日程:毎月(詳細は公式サイトを確認)
●試験形式:学科・実技いずれもマークシート
●試験時間:90分
●合格基準:学科・実技それぞれの正答率6割以上
●合格率:60~80%
●受験料:一般:5,000円(税込)
●団体:4,500円(税込)
●試験会場:一般:在宅
●団体:会場
参考:医療事務認定実務者試験|診療報酬資格認定全国医療福祉教育協会
医療事務認定実務者試験は、医療事務に従事するために必要な基礎知識とレセプト業務を想定した実技試験のレベルを客観的に判断することを目的としています。
受験資格はなく、必要な知識レベルがあれば誰でも受験可能です。
対応した教材は書店などで手に入るため、独学で資格取得をしたい方に向いているでしょう。
また、試験のレベルは初学者向けとなっており、今まで医療とは無関係な仕事に従事していた方にもおすすめです。
1-2. 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
●主催者:一般財団法人 日本医療教育財団
●受験資格:特になし
●試験日程:毎月(詳細な日程は公式サイトを確認)
●試験形式:実技1:記述式
学科:択一式
実技2:診療報酬明細書点検
※2024年7月以降、IBT方式へ移行
●試験時間:実技1:50分
学科:60分
実技2:70分
●合格基準:学科および実技1・2のすべての得点率70%以上
●合格率:-
●受験料:7,700円(税込)
●試験会場:在宅
参考:試験概要|医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)|日本医療教育財団
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)は、医療事務に従事するための知識・技能を審査し、証明することを目的としています。
試験の対象は受付業務・診療報酬請求事務業務のそれぞれに必要な知識・能力です。
受験資格はありません。
資格取得に必要な参考書・問題集は書店でも入手可能であり、独学での合格も目指せる資格です。
1-3. 医科 医療事務管理士技能認定試験
●主催者:JSMA 技能認定振興協会
●受験資格:特になし
●試験日程:在宅:毎月
インターネット:好きなときに受験可能
●試験形式:在宅:マークシート形式
インターネット:択一式
●試験時間:180分
●合格基準:在宅:実技は点検・作成問題ごとに約60%以上かつ合計約80%以上、学科は約80%以上
インターネット:実技・学科の総合計が70%以上
●合格率:約70%
●受験料:7,500円(税込)
●試験会場:在宅、インターネットは会場
参考:医科医療事務管理士技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会
医療現場で必要な受付・治療費の計算・診療報酬明細作成に加えてカルテ管理などの知識・スキルを証明するための資格です。
医療事務管理士は2005年10月に特許庁から商標登録が認められました。
これを受け、幅広く認知された資格となり、さまざまな医療機関で活躍しています。
受験資格がない点から、独学で資格取得を目指したい方にもおすすめの資格です。
ただし、出題範囲は広いため、準備を怠らないようにしましょう。
1-4. 診療報酬請求事務能力認定試験
●主催者:公益財団法人日本医療保険事務協会
●受験資格:受験資格なし
●試験日程:年2回(7月、12月)
●試験形式:学科:マークシート
実技:診療報酬明細書作成
●試験時間:3時間
●合格基準:-
●合格率:20~30%
●受験料:9,000円(税込)
●試験会場:全国各地の会場
参考:試験概要|公益財団法人日本医療保険事務協会
診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務全般よりも診療報酬請求事務に特化した資格試験です。
そのため、実技試験では診療報酬請求書を最初から作成します。
受験資格はなく、誰でも受験可能です。
ただし、医療事務系の資格のなかでは最難関といわれており、充分な準備をしなければ合格は難しいでしょう。
独学で資格を取得したいと考える方に向いていますが、初心者向けではないかもしれません。
2. 医療事務関連の試験の難易度
医療事務関連の試験の難易度は、資格によって大きく異なります。
前項目で紹介した資格試験の合格率を一覧表で見てみましょう。
●資格試験:合格率
●医療事務認定実務者試験:60~80%
●医療事務技能審査試験(メディカルクラーク):公表なし
●医科 医療事務管理士技能認定試験:約70%
●診療報酬請求事務能力認定試験:20~30%
上記の一覧表を見ると、診療報酬請求事務能力認定試験以外は合格率が50%を超えています。
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)については、公式での合格率は公表されていません。
しかし、医療事務関連の資格のなかでは初心者向けとされており、同様の初心者向け資格である医療事務認定実務者試験の合格率が60~80%なので、同じくらいと考えたほうがよいでしょう。
医療事務関連資格のなかでもっとも難しいとされている資格は、診療報酬請求事務能力認定試験です。
出題範囲が広く、実技試験である診療報酬請求明細書作成はカルテから読み取って最初から作成しなければなりません。
試験会場への持ち込みは可となっています。
しかし学科試験の問題数も大変多く、基礎知識を身に着けておかなければ、試験時間内に終わらないこともあるでしょう。
3. 医療事務資格取得の勉強方法
医療事務資格を取得するには、どのような勉強方法がよいのでしょう。
取得を目指す多くの人たちの勉強方法は、主に以下の3つです。
・独学
・通学
・通信教育
それぞれの勉強方法・メリットデメリットについて解説します。
3-1. 独学の場合
●メリット
・コストを必要最小限に抑えられる
・学習時間を自分で設定できる
●デメリット
・難しい問題も自分で解決しなければならない
・モチベーションの維持が難しい
独学は文字通り、自分で参考書や問題集を用意して勉強する方法です。
医療事務関連の教材は数多くあり、書店で入手可能です。
またそれぞれの資格の公式サイトでは、おすすめの教材が紹介されています。
これらも活用すれば、合格する確率は上がるでしょう。
さらにYouTubeでも医療事務の資格取得に向けた無料動画が配信されています。
このようなサービスも上手に活用すれば、コストを最小限に抑えられるかもしれません。
しかしその一方で、診療報酬請求事務能力認定試験のような合格率の低い資格取得を目指す場合は、難しい問題に遭遇する確率が高まります。
独学ではそのような問題にぶつかった際にも、自分で答えを見つけなければなりません。
資格のレベルが高くなれば、当然難しい問題も多く出題されます。
そのたびにつまずいていると、モチベーションも下がっていくでしょう。
学習がスムーズに進まなくなったときでも臨機応変に対応し、上手に気分転換しながらモチベーション維持ができる人は、独学に向いているといえます。
3-2. 通学の場合
●メリット
・わからないところはすぐに解決できる
・同じ目標を持った仲間ができる
●デメリット
・料金がかかる
・時間にしばられる
通学は、医療事務の資格取得を目指す学校に通って学習する方法です。
問題でわからないところがあれば、すぐに講師に質問して解決できます。
また、解き方のコツなども教えてもらえるでしょう。
同じ目標を持った人たちが通うことから、仲間ができ、モチベーションの維持もしやすくなります。
しかし独学に比べてコストがかかり、通学を含めた時間にしばられる点にデメリットを感じる人もいるでしょう。
「モチベーション維持のために仲間が欲しい」「学校に通うことが好き」という方には向いている勉強法です。
3-3. 通信講座の場合
●メリット
・通学に比べてコストが抑えられる
・添削機能がある
●デメリット
・独学に比べるとコストがかかる
医療事務関連の資格には、通信講座も多くあります。
通学に比べてコストが抑えられる点はメリットといえるでしょう。
また、定期的な宿題・テストなどがあり、添削もしてもらえます。
どのような点に注意すればよいのか、アドバイスがもらえる可能性もある点は、独学よりもメリットが高いといえるかもしれません。
しかし、その一方で独学に比べるとコストがかかります。
医療事務関連の通信講座のなかには、比較的安いコストで受講可能なものもあるでしょう。
その場合、「添削機能がない」「利用できる期間が短い」などの条件があるため、注意が必要です。
「通学をする時間はないけれど、独学でのモチベーション維持は難しい」といった方には向いている勉強法かもしれません。
4. 医療事務の学習方法は生活スタイルで決めよう
医療事務の資格や勉強方法について紹介しました。
医療事務の学習法については、どれがよいとは一概にいえません。
その理由として、それぞれの生活スタイルが異なる点があげられます。
資格取得は独学でも可能です。
しかし学習方法の選択については、コスト面だけではなく生活スタイルも考慮したほうがよいでしょう。
毎日どれくらい勉強時間を確保できるのか、モチベーションの維持ができるのかなどを考えて学習方法を決め、医療時の資格を取得してください。