
【ネットで副業!】確定申告の有無は収入で判断してはいけない?
毎年1月から3月にかけてよく聞かれる「確定申告」は、会社勤めであれば「年末調整」があるため、ほとんどの人は手続きの経験すらないことが多いです。
しかし、フリーランスはもちろん、サイトやアプリを通して副業をしたり、ハンドメイド雑貨を販売したりしているような場合も、一定以上の儲けが出れば確定申告が必要となります。
知らずに収入を得ていると、税金を正しく納めていないことになるため、後で自分が困らないためにも確定申告に対する知識はある程度もっておくことが賢明です。
そこで今回は、そもそも確定申告とは何か、そして副業収入として申告する必要があるものには何があるかについて解説していきます。
1. 確定申告とは
会社勤めをしている場合、給与明細では必ず一定額が引かれています。
これを「源泉徴収」といい、控除されているのは、健康保険や雇用保険などの社会保険料や住民税、そして所得税が基本です。
健康保険料や厚生年金保険料は4月から6月の収入をもとに算出されますが、住民税と所得税は別の計算方法で求めます。
住民税は、その年の1月1日時点の住所地が納付先になり、前年の1月から12月までの年収をもとに税金額が確定し、支払いは6月からです。
所得税は、年収をもとに算出する点においては住民税と同じであるものの、毎月の収入額をもとに概算で引かれています。
つまり、転職や退職など前年よりも給与が増減した場合、予定されていた額よりも払いすぎている場合や、逆に足りない場合が生じるため、年末調整を行うということです。
会社員であれば、会社が年末調整をするため翌年の2月頃に税金の還付や、追納の請求があります。 しかし、フリーランスなどの場合は、年末調整をしてもらえません。
だからこそ確定申告で正しい収入や所得を申告し、正しい税額を納めるための手続きが必要になるのです。
とは言っても、確定申告はフリーランスや自営業に限った話ではなく、副業をして副収入を得ている人も関係してきます。
今後は副業をする人もさらに増えていくと言われていますから、現時点で自分に関係がなかったとしても、確定申告について少しくらいは知っておくことをおすすめします。
2. 副業で確定申告が必要なのは所得金額20万円から
では、いったいどの程度の収入があると確定申告をしなければいけないのでしょうか。
よく言われるのは「20万円を超えたら」ですが、実際に20万円を稼いでいたとしても、確定申告が必要にならないこともあります。
申告の有無を決めるボーダーが「20万円の収入」ではなく「20万円の所得」とされているからです。
したがって、もし本業以外に20万円の所得があるようなら確定申告をしなくてはいけません。
「収入」と「所得」の違いや、何が副業収入とみなされるのかについて確認しておきます。
2-1. 収入=所得ではない
勘違いされやすいですが、収入と所得は似て非なるものです。
まず収入とは、個人が1月1日から12月31日までの1年間で得たお金のことをいいます。
例えば「年収500万円」というのは、所得税や社会保険料などが一切引かれていない収入のことです。
一方で所得は、収入から経費などを差し引いたものをいいます。
(「収入」ー「経費」=「所得」) もし収入が24万円以上あっても、仕事をするために5万円のパソコンをその年に購入したとしたら、24万円ー5万円=19万円となり、所得が20万円以下になるため、確定申告をしなくても良くなります。
ただし、確定申告は他にも「給与を2箇所以上から受け取っている」「住宅ローン控除を希望する」といったケースで必要になる場面もあり、条件に該当するかどうか確認しておくことが大切です。
2-2. 副業収入とみなされるものとは
では、どのようなケースが副業収入に当てはまるのでしょうか。
お小遣い稼ぎ程度の副業であれば「雑所得」、個人事業主で本格的に事業を行っている場合は「事業所得」、仕事の片手間に副業をしているなら前者で申告することになります。
雑所得の範囲は幅広く、LINEスタンプの収益やホームページ作成で受け取った報酬、ビットコインなどの仮想通貨取引で得た利益、競馬の払戻金も対象です。
ただし、いずれも所得の合計が「20万円以下」なら、確定申告の必要はありません。 手続きを避けたい場合は、20万円を超過しそうになったら年末まで仕事を調整するなどして対応しましょう。
3. 所得になるものとそうでないものについて
ではより具体的に、どのようなケースが所得扱いになるのか、具体例を挙げて説明していきます。
3-1. 「メルカリ」や「ヤフオク」で物を売った場合
フリマアプリ(例:メルカリ)やネットオークション(例:ヤフオク)で、衣服や雑貨など自分のものを売却している場合は、ほとんどが個人間で低価格の取引であるため、確定申告が必要になるケースは少ないです。
しかし、売り上げの合計額が1月から12月までの1年間で20万円を超過してしまうと、「雑所得」として確定申告が必要となります。
ブランドバッグや電子機器類など、比較的高値のつきやすい品物を取引している方は気をつけてください。
3-2. クラウドソーシングの収入の場合
「クラウドワークス」や「ランサーズ」など、クラウドソーシングで稼ぎを得ている場合も、20万円以下であれば特に気にしなくても大丈夫です。
しかし、やはり報酬額が20万円を超過してしまうと確定申告の対象となる場合があります。
クラウドソーシングのサイトを経由して報酬を得るケースは、すでに所得税が源泉徴収された状態で、所得を算出するためには、源泉徴収分も合算しなければいけません。
本来の所得は、源泉徴収される前の金額ですが、この部分をよく勘違いする人が多くいます。
ただし、確定申告をすることにより還付金をもらえる可能性もあることから、漏れなく確実に申告することが大切です。
ちなみに、サイトを介さずに直接雇用契約をした場合は、「給与」を受け取っていることになります。
2カ所以上から給与を得ている場合は、確定申告の対象となりますので、注意してください。
3-3. ハンドメイド作品をネット販売する場合
「crema」や「minne」など、全国のハンドメイド作家が作品を出品しているサイトやアプリ、独自のECサイトを構えている場合でも、20万円以上の売り上げがあったら確定申告の対象になる可能性があります。
ただし、ハンドメイド雑貨を作るためにかけた費用は売上げから差し引くことも可能です。
例えば、25万円を売り上げて、製作費が10万円であれば、所得は15万円となり、申告の必要はありません。
売上が多くなった時のために、材料費のレシートなどは捨てずに取っておくようにしてください。
4. 副業の確定申告方法
確定申告というと、「領収書をかき集めて役所に駆け込む」ような姿をイメージする人もいるかもしれませんが、パソコンやスマホなどを使えば、ネットからでも簡単に手続きができます。
(e-Tax) 例えば、本業では年末調整をしてもらっている人で、副業の確定申告を自分ですることになったとしましょう。
やり方については、国税庁が出している「スマホで確定申告(副業編)」を参考にすると簡単に進めていくことができます。
主な手順は、以下の通りです。
- 本業の源泉徴収票を手元に用意しておく
- IDとパスワードの設定、もしくはマイナンバーカードの用意
- 副業で得た収入額を合算する
- 雑所得の金額の計算表を見ながら支出額を割り出す
- 収入合計額から支出合計額を出す
- 1の源泉徴収票と計算表をもとに数字を入力する
- 内容を確認して提出
注意しておきたいのが手順4「支出額の割り出し」で、副業を自宅で行っている場合、自宅の家賃や電気代、インターネットなどの費用全てを経費にすることはできません。
例えば、副業で使うパソコンを1日3時間使っていたとしたら、その3時間分の電気代を按分する必要があります。
ちなみに、作成したデータは保存ができるので、後から見直せますし、副業により生じた税金はQRコードで簡単にコンビニ納付することも可能です。
スマホで作成するのが不安であれば、パソコンでまとめたものを印刷し、税務署で不安な部分を直接質問することをおすすめします。
5. まとめ
確定申告は一見難しそうですが、国税庁のホームページやパンフレットでは手続きの仕方が分かりやすく解説されており、手順にしたがって進めればあまり難しいことはありません。
特に、フリーランスとは違って本業で会社に年末調整をしてもらっている人は、副業分の申告であれば短時間で処理することも可能です。
だからといって、期限ギリギリまで手続きをしていないと、締め切り間近になってから焦ることになりかねません。
確定申告は毎年2月16日から3月15日(2020年・2021年は新型コロナウイルス対策で4/15まで1ヶ月延長されています)と決められているため、できれば早めに準備だけでも進めておくと良いでしょう。
どうしても一人で判断するのが不安な場合は、ココナラなどのスキルシェアサイトで確定申告のチェックをしてくれる案件など、外部サービスをうまく利用すると安心です。